2014年6月18日水曜日

ヒールに隠れたすごい効果

 ムーブに関しての考察。素人だし、うまくもないので外れている可能性は大だが、自分なりに考えてみた。様々なムーブをアドリビタムに、感覚的にできる人もいれば、そうでない人もいる。前者は天才肌で上達の早い人だし、後者が普通だと思う。一方で、無意識でできることはすでに体得していると同義であるとも考えられる。僕は後者であり、その時々に体が動くわけでもなく、常に引出しを開けながらムーブを起こしている。つまりは経験したことのあるムーブを修正しながら行う。僕は、論理的に考えることを生業としているので、経験値を上げる際に、新しく出てきた問題にできる限り理由(理屈)を付けて消化することにしている。
これは研究でいう問題提起→実験→結果→考察という過程と同じであり、一番大切なのは考察の部分。どういう理屈でそうなるのかを論理立てて考えて、新たに生じた「穴」、つまりは仮定(仮説)を新しい問題点として調べる。
ボルダリングも論理立てて分解していけば、一つ一つの正解ムーブには力学的な意味付けや、体の構造から導かれる筋肉の動きによる説明がつけられる。感覚で登れないのだから、できたこととできないことを考察して、論理立てて検証して行けば良い。

 ボルダリングでつらいち(140°)をやってみて色々と考えさせられるところがある。正対で取れるホールド、ダイアゴナルやキョンを使って体をひねって取るホールド、フラッキングをして振られ止めをすることで取れるホールド。

・正対で届かない遠いホールはダイアゴナル。壁から体を離さない役割もある。
・体が壁から離れると残った腕への負荷が大きく、ホールドを取った腕にかかる重量が増す。腕を伸ばす距離を縮め、腕のみの引付に頼らず、さらに体が壁から離さない様にキョンを使う。
・フラッキングすることで、体の振れが小さくなりホールドを掴む腕にかかる負担が小さくなる。

 基本的なことだが、体が振られればホールドを掴んでいる手に負担がかかるし、壁から体が離れていれば取りに行く距離が増すことで、残る方の手による引付け、新たに取りに行く手の保持力がより必要になる。


 ヒールフックは体の振られ止めや、遠いホールドを取る際に掻き込むための手段だと思っていたが、、、しかし、壁から体を離さない様にする役目もあると感じた。
つらいちのある課題でホールドを掴んだ瞬間に体が壁からブランコのように離れて、保持できなくなり剥がされるムーブがあった。
この際に、爪先ではなくてヒールを置くと壁から剥がされなくなった。

その理由として、、、
1.爪先の場合に比べて、ヒールを置いた場合は膝つまりは股関節が開いていた。その結果、壁に体近づく。
2.爪先を置いて正対で取りに行くと、体の振られる方向が壁に対して垂直方向になり、ブランコの様に体が動く。これを止める力は腹筋とホールドを離さないための手の力。保持力が強ければこのムーブでも問題ない。実際できる人もいた。さらに、この一手で僕はダイアゴナルやキョンは使えなかった。保持力の問題もあるが、残る左手がパーミングだから難しい。
3.ヒールを架けた場合は、前述の通り、股関節を開いているので、股関節から腹筋にかけての筋肉が体を壁に押し付ける形になる。ブランコのような振れを、足の大きな筋肉と腹筋が軽減する。その結果、ホールドを掴むための保持力が劇的に小さくなる。

 つらいちを登る上手い人達を見ていて足の使い方が上手いなぁと思っていたが、ここまで効果があるものだとは、、、足に負荷を逃がすことで、ダイナミックなムーブが起こせる様になる。垂壁や多少被った壁では出てこないシビアな足遣いがつらいちには隠れていた。そして、僕にとっての第一通過点は「ヒールで体を壁に近づける」だった。
次に必要になってくる技(!?)は何だろうか、、楽しみだ。